その66.名栗渓谷 編


衰えた体力を考慮し、近場で今シーズンを締めくくろうと思う。
今日は無理をせずのんびりやろう。
立ち寄った名栗湖の湖面も穏やかだ。
据えつけられているロープを伝って川辺に降りる。
楽ちんだ。
実生活の騒音からは隔絶された世界。
聴こえてくるのは水音と蝉の鳴き声だけだ。
ルアーを投げ込んだまま滝の前に佇み、しばし瞑想状態に入る。
「閑さや 岩に沁み入る 滝の音」
もう一句浮かんだ。
「静香さん 要らぬシュミーズ セミヌード」
と、ここで強烈なアタリが!
私は条件反射的に竿を立てる。
うまくフックしたようだ。
力いっぱいリールを巻き上げるが直ぐに引き戻される。
ドラグが唸る。
今日はのんびりやるはずだったのだが。。。
なかなか手元に引き寄せられない。
滝壺深くに持って行かれたまま時間が過ぎる。
およそ30分の激闘の末、やっと近くに引き寄せることができた。
ここまで来ればこっちのものだ。
止めのひと巻きに観念したのであろう、最後は抵抗することなくネットに収まった。
そして、大人しく私の目の前にその美しい身体を横たえた。

思いのほかハードな釣りになってしまった。
しかし、おかげで大満足しました。
どうもありがとう。
来シーズンまた会いましょう。
サヨナラ!

原種山女:YH種(28cm)
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