その58.別所沼編


近所に別所沼公園という所がある。
カラフルな遊具が揃う広場や、詩人の立原道造を記念して作られたコテージ風の建物、レストランが併設された会館などの施設が整い、幅広い年齢層の憩いの場となっている。
その中でも、公園名にもなっている別所沼は、周囲に約1kmのジョギングコースが整備されて多くのランナーでにぎわうとともに、釣客の姿も絶えることがない。
ここでは主にテナガエビやフナが釣れるらしい。
しかし、山女が居ても不思議のない佇まいではある。
実際のところはどんな具合なのであろうか?
私は釣客に直接聞いてみることにした。
「釣れてますか?」
「サッパリですな。最近は思慮分別に欠けた輩が放った外来種が蔓延って困っとります。
これを見てください。」
私はバケツの中を覗き込んだ。
予想に反し、それはブラックバスでもブルーギルでもなかった。
美しいその姿!
これは山女ではないのか??

原種山女:G種(不詳)
もう1人の釣客にも訊ねてみる。
「釣れてますか?」
「サッパリですな。最近は思慮分別に欠けた輩が放った外来種が蔓延って困っとります。
これを見てください。」
と、やはり同じ答えが返ってくる。
私は再びバケツの中を覗き込んだ。
そこには先程とはまた別の美しい魚がいた。
これを山女と呼ばずして何と呼べばよいのだろうか?
ここ別所沼は原種山女の宝庫だったのである!

原種山女:J種(不詳)




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