その57.名栗(山中入〜柏木入)編


いつもいつも私が釣りまくるものだから川の神様の怒りに触れたのだろうか?
私の行く手に大きな壁が立ちはだかった。
激しく吐き出す水が訳もなく私を吹き飛ばした。
彼は薄ら笑いを浮かべていた。
あっという間に流されて行く私。
橋をくぐって更に下流へ。
水面は穏やかだが川底の水流は想像を絶する圧力だ。
しかしこんな時は下手にあがいてもただ体力を消耗するだけだ。
流れに身を任せるしかない。
そうこうするうちに目前に堰堤が迫ってきた。
このままでは20メートルはあるであろう堰堤下に転落してしまう。
万事窮すか?
私は右手に握り締めていた竿を無意識に振りおろした!
っと、次の瞬間、私は柔らかいクッション性のあるものに包まれていた。
川には女神もいたのである。

原種山女:YM種(29cm)

100926
inserted by FC2 system