その56.新井田川編


雪が見たい!
そう何故か思い立った私は東北新幹線の下り列車に飛び乗りました。
八戸駅で降りてから彷徨い歩くこと4時間。
或る大きな川に辿り着きました。
河口近くのその川岸は雪で覆われていました。
ザクッ、ザクッ、と雪面を踏みしめながら上流へと向かいます。
休むことなく私は歩き続けました。
相当に疲れていました。
思えば今朝から何も食べていないどころか一滴の水を口に含むことすらなかったのです。
体力の消耗はとっくに限界を超えていました。
それでも私は上流へ上流へと歩き続けたのです。
まるで何かに導かれるように・・・
もう意識が朦朧として気も失いかけていた頃、その瞬間は訪れました。
私はやっと今回の旅の意味に気が付いたのです。
「輝き」
「出会い」
「戯れ」
「戸惑い」
「愛」
そして「別れ」

原種山女:KR種(31cm)





午後の日差しの中、雪はもう殆んど残ってはいませんでした・・・


鮭の遡上で名高い新井田川にて


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