その48.出羽沼編(おまけ)


夏の盛りの日射しの下。
ここ出羽沼には色とりどりの花が咲く。
ヘラブナ釣りを楽しむ人たちが咲かせる傘の花だ。
赤い傘、青い傘、白い傘。
それぞれの傘の下には、それぞれの人生。
傘の色に負けず劣らずその人生は色々だ。
だがこの時間だけは、どの傘も穏やかな幸福感で満たされている。
「調子はどうですか〜?」
「おやっ、大山先生じゃないですか。今日はサッパリです」
「まあ、ぼちぼちやってください」
「ええ、のんびりやらせてもらいます」
「そちらのあなたは調子が良さそうですね」
「いやいや、たいしたことはありません。先生の前じゃお恥ずかしい限りです」
そう謙遜する彼の顔は嬉しさを隠しきれない。
ゆっくりと時間が流れる……。
釣れても釣れなくても、膨らんだ傘の内は幸せでいっぱいなのであった。

原種山女女女女




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