その41.菅沼編
その日の空は気持ちよく晴れ渡っていた。 樹々に囲まれた菅沼の水面はキラと輝き、魚達のライズで時おり更に大きくきらめいた。 絶対的なる善が創り出したとしか思えない、静かで調和のとれた美しさだ。 だが、その平穏も長くは続かなかった。 彼らがやって来たからである・・・ |
爆笑王とその知人Mは湖岸まで乗り付けた車から降りてボートに向かった。 何やら怪しげな荷物を抱えている。 船尾にそれをセッティングしたかと思うと、彼らはすぐにボートを深みへと押し出した。 |
持参していたのは電動スクリューだった。 エンジンをかけると、彼らは奇声を発して出船した。 見る見るうちに遠ざかっていく。 いかん!文明の力を過信した彼らは山女たちを根こそぎかっさらっていく積りらしい。 他にも邪悪な道具を携えていることは間違いない。 これはもはや釣りではない。 なんとしても彼らの行動を阻止しなければならない! このままでは、きっと神の怒りに触れるだろう! |
その時、天上から威厳のある声が聞こえた。 「わたしはこの地上に人を造ったことを悔いている。わたしは人を地の表から絶滅しよう。」 そして更に続けてこう言われた。 「君の舟の内外を土瀝青で塗り、その舟には最も清い山女を3匹だけ乗せなさい。」 何も知らない釣銭は首筋に汗を滲ませながら漕ぎ続けている・・・ |
私がまず舟に乗せたのはこの山女だ。 いかにも少女、じつに可愛らしい! |
原種山女:HM種(18cm) |
2匹目は彼女だ。 まだまだ垢抜けないが、磨けば光る! |
原種山女:AS種(22cm) |
3匹目はこの山女だ。 最近はずいぶん女の色気が出てきたようだ! |
原種山女:IY種(21cm) |
3匹を船に乗せると、私は傍にいた三瓶に一緒についてくるように声を掛けた。 その時また天上から声が届いた。 「わたしは3匹の山女だけを船に乗せよと命じたはずだ。彼を連れて行くことはまかりならん!よいな?」 私は恐れ入って答えた。 「はい、主の思し召しであれば、私は我が子であろうとも御前に差し出す覚悟でございます!」 |
私が3匹の山女を引き連れて漕ぎ出そうとした時である。 今度は右手の水面から寂しげな声が聞こえた。 「わたしの命はもうどうでも構いません。しかし、彼女たちの命は救ってあげてください。彼女たちに罪はありません!」 声の主の方を見ると、そこには菩薩と見まがうような美しい山女が横たわっていた。 そして彼女の背後には、彼女を慕う沢山の山女たちがこちらを見つめている。 |
原種山女:YM種(48cm) |