その40.生川編


剥き出しになった採掘場の岩肌を左に眺めながら車を走らせる。
何台もの大型ダンプとすれ違う。
道を間違えたのか??
不安を抱きながら車を停めて降り立ったその場所は以外にも美しい渓であった。
私は心躍らせながら今シーズン最初の一投を投じた。
ルアーが着水すると同時に確かな引きを感じた。
手繰り寄せてみると20センチほどの綺麗な山女であった。
これは幸先がよい。
私は礼を言ってから優しくリリースした。
だが、彼女はいっこうにその場を離れようとしない。
それどころか、誘うような眼差しを向けてくるではないか!
私は少し怖気づいた。
逃げる獲物は追いかけたくなるのだが、積極的に出られるとつい気が引けてしまう。
私もまだまだ修行が足りないようだ。

原種山女:KY種(24cm)
ともあれ、私はその場を離れることにした。
臆病者と笑われるかもしれないが、とにかく心の準備も出来ていないし・・・
流れに逆らって私は逃げた。
一目散に私は走った。
でも、ちょっともったいないことをしたかなぁ・・・
そんな後悔の念、すなわちスケベ心が同時に湧き上がってきた時だった。
行く手を阻むように彼女が再び現われた。
しかも強力な助っ人を引き連れて!

私は観念し、ことの成り行きに身を委ねることにしたのであった・・・ (つづく)

原種山女:KY種(24cm)&IS種(24cm)




070512
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