その38.大岳沢編
武蔵五日市の駅を過ぎてから、さらに4キロほど秋川沿いの道を進み、右手に折れる。 今度は養沢川という支流に沿って上流へと向かう。 毛鉤専用の管理釣り場が延々と続くため、さらに上流を目指す。 ようやく管理エリアが終了して、赤い橋のたもとに小さな煙草屋が現われた。 ここで遊漁券を売っているのだ。 戸を開けると、若い頃は美人だったであろう魅力的な御婦人が炬燵で暖をとっていた。 遊漁券を求めると、彼女はこう言った。 「旦那さんはかなりの腕前でいらっしゃるから、今日は間違いなく大きいのが釣れますよ。」 そして、このまま養沢川を遡るのではなく、左手の沢を行くようにとの助言をくれた。 私は礼を言い、彼女の助言に従った。 |
しばらく進むと木造の建物が見えてきた。 何の建物だろうか。 別荘と思えるが、私には小学生の頃に通った木造校舎に見えた。 今も鮮明に記憶に残る木造校舎の臭い! |
さらに釣り上るが結果が出ない。 結果が出ないどころか反応すら全く無い。 やっぱり養沢川を行くべきだった。 安易に煙草屋の女の言葉を鵜呑みにしたのが間違いだった。 彼女は釣りでは素人のはずだ。 私は自分を責めると共に、少し恨めしく後ろを振り返った。 |
「旦那さんは思ったほど釣りが上手くないみたいだねえ!」 |
原種山女:SR種(50cm) |
060923 |