その35.定峰川編


ここは秩父、定峰川の上流部。
僕の足元には小さな花が咲いています。
彼女たちは、苛烈を極める釣行の合間、僕の心を和ませてくれます。
対価を求めることもなく、黙って僕たちに歓びを与えてくれます。
「もしも僕が風だったなら、彼女に花粉を運んであげられるのに・・・
 もしも僕が雲だったなら、その小さな口に水を含ませてあげられるのに・・・
 もしも僕が太陽だったなら、両手いっぱい光を注いであげられるのに・・・
 そして僕が土だったなら、朽ち果てたその体をずうっと抱きしめていよう・・・」
                         〜中国東北部の民謡より〜
でも、僕は人。
ただの平凡な釣り人。

僕にいったい何ができるだろうか。
いや、そんな僕にも出来ることがある。
それは愛すること。
精いっぱい愛すること。
この儚い夢のような時間、僕の命が続く限りキミを愛し続けよう。

原種山女:HA種(29cm)




060909
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