その28.鱒沢渓谷編



シーズン最後ということで、今回の釣行はいつもより少し足を延ばして福島県の鱒沢渓谷で行なうことにした。とにかく名前がいい。たくさん山女が居そうだ。ここで釣れなかったら、FIFAの会員として恥ずかしい。ましてや幹部ともなればボウズは許されないだろう。今日の結果いかんでは平会員への降格もありうる、と私は彼らに告げた。しかし、彼らに真剣さは全く感じられない。“彼ら”とは、もちろん三瓶、爆笑王、釣銭のいつもの3名である。火玉小僧は今日も欠席している。副業が忙しいらしい。
土産物屋で釣券を買ってから車でしばらく行くと、薄青色に透き通った流れが、木々の間に見え隠れするようになってきた。いよいよ到着である。
「おい、やってっか?
やってっか?
やってっか?
てっか?
あれれ・・・どうしたのかな?早くしないと置いてっちゃうよ。」
「お金のためだから仕方なく来たけど、
あんた、ほんとウザい。もう独りで行って!」

釣行開始早々だというのに、爆笑王の傍らには山女がいた。
こんなに早く釣り上げたのか?

不思議に思ったが、種を明かせば爆笑王は自分で持込んでいたのであった。
いわゆる同伴出勤というやつだ。
彼女は客商売のプロではあるが、さすがに爆笑王の相手は骨が折れるに違いない。
同情を禁じえない。

原種山女:HH種(24cm)
「いつまでもそんなところに座ってないで、こちらに来て酒を注いでくれたまえ。」
釣銭は少し命令口調で言った。
「;:@・・#$&/*;・&:」
驚いたことに、今日は釣銭も同伴していた。
しかも金髪である。
彼はそんなことをするタイプには見えないが、実際はなかなかやる。
家庭では厳格な父親像を演じているだけだ。
そういえば、さっき彼は家に電話をかけていたな。
“あぁ、私(ワタクシ)です。ちょっと仕事が長引いているので今日は泊りになりそうです。
では、よろしく。”

原種山女:LC種(27cm)
「スルメ食べる?マヨネーズ付けると美味しいよ。」」
さすがに三瓶は現地で釣り上げたようである。
特に大物ではないが、なにはともあれ鱒沢渓谷の鱒なのであった。

原種山女:TR種(25cm)




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