その24.神小内川編



昨日、釣銭の釣果は1匹、爆笑王はボウズだった。
一番の問題は彼らにあるとはいえ、これは私の責任でもある。
今日は半日の釣行だが、なんとしても彼らに釣らせなければならない。
指導者としての私の真価が問われているとも言えよう。
「大丈夫、今日は私が釣らせてみせる!」
私は不安げにうつむく二人の背中に向かって声をかけた。
とはいえ、正直に言えばこの二人に釣らせるのは難儀なことだ。
しかし、弱音を吐くわけにはいかない。

私は二人を追い立てるようにして斜面を下った。
堰堤前で釣銭に基本から再教育をした。
手取り足取りの指導となった。
100投目を越えた頃、ようやく釣銭に確かな手ごたえがあった。
これは良い。
アジアン・ビューティー!

原種山女:ZZ種(26cm)
「先生!釣銭にだけ・・・ズルいじゃないですか!」
爆笑王が食って掛かってきた。
「ばか者!人のことなんか気にしないで自分の釣りに専念しろ!」
私は一喝した。
その後は大人しく修行に励んでいた爆笑王であった。
だが、投げても投げてもいっこうに結果は出ない。
そろそろ終了の時間が近づいていた。
さすがに私はしょげ返った彼の後姿を見続けるのが忍びなくなってきた。
堪りかねた私は背後からそっと彼に近づき、網の中にご褒美を滑り込ませた・・・

原種山女:IS種(測定不能cm)




050611
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