その18.多摩川本流編
爆笑王に対するシーズン最後の教育フィールドとして選んだのは多摩川本流である。 だが、つい数日前に追加放流があったとはいえ、 この広大なエリアの何処にそれらが定位しているかを見極めるのは容易なことではない。 結果として今回の選択は誤りだったかもしれない。 |
それにしても哀れなのは爆笑王だ。 どうしたらいいのか皆目見当もつかず、ただただ機械的な動作の繰り返しである。 |
早朝から7時間を経過してアタリさえ得られないことに加え、 増水で孤立した中洲に荷物を置き去りにしてきたことも彼の精神にダメージを与えた。 |
彼の精神状態は限界に達していた。 対岸を見る彼の瞳はすでに焦点が定まっていない。 「@*・ ・・+・? ・*!」 何事かをつぶやきながらリールを巻き取る彼の顔には薄ら笑いが浮かぶ。 よく耳を傾けてみると彼はこう繰り返していた。 「ツッタ。イッピキ、ニヒヒ、サンヒヒ、ヨピピ・・・」 そのとき彼の頭の中は例の妄想に支配されていた。 彼から三桁の釣果報告が届くのは時間の問題であろう。 |
原種山女:JC種(24cm) |
041106 |