その6.丸沼編



丸沼へ来ている。
素晴らしい自然景観だが、残念ながら例によって釣銭と爆笑王が傍にいる。
各自一艘ずつボートを借りることにした。
いつもは付きっ切りで指導にあたるのだが今日は彼等に自由にやらせてみよう。
それに、たまには私自身も釣を楽しみたい。

午前8時、先程からライン結びに苦闘している爆笑王を尻目に、私はゆっくりとボートを漕ぎ出した。
そして間もなくのことである。
一匹の原種山女を釣り上げた。
それは何の前触れもなく、激しいファイトもなく、拍子抜けするぐらい実にあっけなく私のボートの中に滑り込んだ。

原種山女:IN種(14cm)
ものの5分も経っていなかっただろう。
二匹目の原種山女を釣り上げた。
かなりの大物だ。
今度も手繰り寄せるのに苦労はしなかった。
正直なところ、こんなに簡単に釣れてしまうのも考え物だ。

原種山女:MA種(17cm)
どうしたことだろう。
更なる大物が
またまた釣れてしまった。
開始からわずか10分で三匹の原種山女。
さすがの私でも通常はあり得ないことだ。
朝の光の中で彼女の笑顔が眩しすぎる。
私は軽いめまいを覚えて目を閉じた。

原種山女:HK種(20cm)
30秒ほどそうしていただろうか。
おでこを叩きながら目を開いた私の眼前には、西日に照らし出された釣銭の姿があった。

雑魚:釣銭(45cm)




031020
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