その5.小百川某支流



「こっちだべさ!」
先を行く爆笑王が叫んだ。
今日は彼に地元の釣場を案内させている。
山荘に泊まりに行った時のために、前から下調べを命じておいたのだ。
まったく上達しない爆笑王だが、ほとんど周りが釣場のようなところに住んでいるのだから、それぐらいの役には立つだろう。
少し進むと腰まで浸かる深みに遭遇した。
爆笑王は立往生してしまった。
岩壁に手を添えたまま、進むことも退くことも出来ないでいる。
ガイドとして連れてきたのだが、とんだ足手まといになってしまった。
しばらくすると、それまで控えめに爆笑王の後ろに付いていた三瓶が業を煮やして前に出た。
役に立たない爆笑王を尻目に、垂直に切り立った岩壁をわけもなく登って行く。
「大山先生、私が先に様子を見てまいります。」
三瓶はそう言うと、さらに崖の上へと向かった。
天性の勘がそうさせたのだろう。
三瓶は川の中ではなく、岩肌を伝い落ちる流れの中へとルアーを投げ込んだ。
じつは私もハナから見抜いていた。
こういうところに原種山女はいるものだ。

・・・そして実際にいた!


原種山女:AN種(35cm)




030907
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